アタシは 神 を信じてる。だから、
キミの言う 神 が納得できないの
アタシは 神 を信じてる。だから、
キミの言う 神 が納得できないの
(初出:デウスエクスマキナは死んだ)
亜美
亜美
人当たりは悪くなく献身的で、バッグの中には誰かの役に立つための様々なグッズが詰め込んである。話しかけてみると明るい笑顔を見せ、ハキハキと明瞭な声で受け答えをしてくれる。
◇一人称
アタシ
◇二人称
キミ
◇好き
読書(小説を除く)
◇嫌い
見た目で判断する人
◇特技
速読・間違い探し
一方、ひとりの時の彼女はどこか無機質に見える。時代にそぐわぬ携帯をいじくりまわし、小難しい数字の羅列を見つめ、聞いたことの無い題の本を読みふけっている。そんな彼女にスピリチュアルな話題や宗教の話を持ちかけた時、彼女の態度は一気に冷たくなり、嫌悪感を露わにする。
父は育児に無関心、母は宗教にのめりこみ、一人っ子の家庭は崩壊。亜美は新興宗教2世。「神を信じる」というムーブ自体に懐疑的で、「自分の頭で考えて、判断し、行動しろ」「信念を神に委ねるな」を信条としている。自分まで感情にとらわれないように、論理的思考や客観的に物事を見る力を突き詰めた結果、デジタルな職に就いている。嗜好にそぐわぬギャルらしい格好と言動は、家庭への反発心から。
数字を信じる一方で、数字に支配されないよう注意している。彼女の思考の柱は「物事はグラデーション」である。よく言えば臨機応変だが、悪く言えば軸が常にブレている性格。こんな彼女も神の存在は信じている。
それは聖書などに描かれる人間味を感じられるような神ではなく、「このような巡り合わせや生成は偶然にしては出来すぎている」といった、小さな小さな確率から生まれるあまりにも美しい結果との出会いに大いなる存在の力を見出し、それを「神」と呼んでいる。
香月亜美を演じる者の手記――
「神」とはなんだろう?私は神と定義されているが、そこには逸話も信仰心も無い。いわば器だけの神だ。例えば私の真逆の存在が居るとするならば、あるひとりの人間にありったけの逸話や信仰心を詰め込んで、それらしい振る舞いをさせて大衆からの支持を得られれば、中身だけの神…のようなものを作ることもできるのだろう。
神を定義するのは、器と中身、どちらなのだろう?
併せ持つのが至高なのは当然として、主軸はどちらにある?
どうも信仰心というのは人間特有の感情らしい。となると、人間にとって神の存在は、心の拠り所なり結束力の強化なり、何らかの恵みをもたらすものだと考えられる。たとえその存在が証明できずとも…だ。一方で信仰心が人を滅ぼしてきたケースや、そこから発展して宗教そのものがアレルギーのようになってしまったケースもたくさん見てきた。
私は本当に人間になりたいのだろうか?人間にとって恵みをもたらす神になるのも悪くないのではないか?とはいえ、俯瞰では見えないものもある。
仮に…宗教に大切なものを滅ぼされた人間がいるとして、そんな人間がもう一度神を信じることがあるとすれば、それはどのような神なのか?
器か中身か、定義された神か、その時の経験やタイミングで信仰心が芽生えた普通の事象や生物に対するものか?「神を殺める」という任務はもちろんとして、私が今回知るべきところはそこなのだろう。


